変形性膝関節症はどんな人に多い?4つの主なリスク

変形性膝関節症

変形性膝関節症はどんな人に多い?4つの主なリスク

変形性膝関節症は、誰にでも起こりうる疾患ですが、特定の条件下にある方々により多く見られる傾向があります。

ここでは、変形性膝関節症のリスクが高まる4つの主な要因について詳しく見ていきましょう。

 

50歳以上の中高年者

年齢を重ねるにつれて、私たちの体のあらゆる部分に変化が訪れますが、膝関節もその例外ではありません。

特に50歳を過ぎると、関節を保護する軟骨の摩耗が顕著になり始めます。

この自然な加齢現象により、膝関節のクッション効果が低下し、骨と骨がこすれ合うようになります。その結果、炎症や痛みが生じやすくなり、変形性膝関節症のリスクが高まるのです。

 

ただし、年齢だけが決定的な要因ではありません。適切なケアと生活習慣の改善により、軟骨の健康を維持し、症状の発現を遅らせることも可能です。

 

過体重や肥満の人

体重過多は膝関節に大きな負担をかけます。歩行時、膝にかかる負荷は体重の2〜3倍にもなると言われており、過体重や肥満の方は常に膝に過度の圧力がかかっている状態にあります。

この持続的な負担が、軟骨の摩耗を加速させ、変形性膝関節症のリスクを高めます。

 

さらに、脂肪組織から分泌される炎症性物質が、関節の炎症を悪化させる可能性も指摘されています。適正体重の維持は、膝の健康を守る上で非常に重要な要素と言えるでしょう。

 

膝を酷使する職業に就いている人

長年にわたって膝に負担のかかる仕事に従事している方も、変形性膝関節症のリスクが高まります。

例えば、建設作業員、農業従事者、プロスポーツ選手などが該当します。これらの職業では、しゃがみ込みや重い物の持ち上げ、急激な方向転換など、膝に大きな負荷がかかる動作を頻繁に行います。

 

このような継続的な負担は、時間をかけて軟骨を摩耗させ、関節の構造を変化させてしまう可能性があります。職業上避けられない場合は、適切な休息や保護具の使用、正しい動作の習得などで、リスクを軽減することが大切です。

 

過去に膝の怪我や手術を経験した人

膝の怪我や手術の既往歴がある方も、変形性膝関節症のリスクが高くなります。

例えば、靭帯損傷や半月板損傷、骨折などの大きな怪我を経験した場合、たとえ適切な治療を受けても、関節の構造や機能に永続的な変化が生じることがあります。

 

また、手術後のリハビリテーションが不十分だった場合、関節の安定性や可動域に問題が残り、長期的に変形性膝関節症のリスクを高める可能性があります。怪我や手術の既往がある方は、定期的な検診とケアを心がけることが重要です。

 

変形性膝関節症のリスクが高まる3つの生活習慣

日々の生活習慣も、変形性膝関節症の発症リスクに大きく影響します。

ここでは、特にリスクを高める3つの生活習慣について詳しく解説します。

 

運動不足による筋力低下

運動不足は、膝周りの筋力低下を引き起こします。特に大腿四頭筋の弱化は、膝関節の安定性を損ない、軟骨への負担を増大させます。

適度な運動は、筋力を維持するだけでなく、関節液の循環を促進し、軟骨の健康維持にも寄与します。

 

ただし、急激な運動開始や過度な高強度運動は逆効果になる可能性があります。ウォーキングや水中運動など、低影響の運動から始め、徐々に強度を上げていくことが望ましいでしょう。

 

不適切な姿勢や動作の継続

日常生活での不適切な姿勢や動作の継続も、変形性膝関節症のリスクを高めます。

例えば、長時間のデスクワークで膝を曲げたままの姿勢を続けたり、重い物を持ち上げる際に膝を内側に入れてしまったりすることは、膝関節に不均等な負担をかけます。

 

また、歩行時のO脚やX脚など、脚のアライメント異常も、特定の部位に過度の負担をかけ、軟骨の摩耗を加速させる可能性があります。

正しい姿勢と動作を意識し、必要に応じて専門家の指導を受けることが大切です。

 

偏った栄養摂取とビタミン不足

バランスの取れた栄養摂取も、膝の健康維持に重要です。

特に、軟骨の主成分であるコラーゲンの生成に必要なビタミンCや、骨の健康に欠かせないカルシウム、ビタミンDなどが不足すると、関節の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

また、抗炎症作用のある食品(例:オメガ3脂肪酸を含む魚類)の摂取不足も、関節の炎症リスクを高める一因となります。偏食を避け、多様な食品からバランス良く栄養を摂取することが望ましいでしょう。

 

変形性膝関節症の症状が現れやすい4つの日常シーン

変形性膝関節症の症状は、特定の日常動作で顕著に現れることがあります。以下に、症状を感じやすい4つの典型的なシーンを紹介します。

 

階段の上り下りで感じる痛み

階段の上り下りは、膝に大きな負担がかかる動作です。

特に下りの際は、体重の3〜4倍もの力が膝にかかるとされています。変形性膝関節症の初期症状として、階段を降りる際に膝の前面や内側に鋭い痛みを感じることがあります。

 

この症状が現れ始めたら、手すりを使用したり、一段ずつゆっくり降りたりするなど、膝への負担を軽減する工夫が必要です。

 

長時間の歩行後の違和感

買い物や旅行など、普段より長い時間歩いた後に膝の違和感や痛みを感じることも、変形性膝関節症の初期症状の一つです。

歩行を続けるうちに徐々に痛みが増していき、休憩後に再び歩き出す際に強い痛みを感じることもあります。

 

この症状が現れたら、適度な休憩を取りながら歩くことや、膝サポーターの使用を検討するのも一つの方法です。

 

立ち上がり時のこわばり

長時間座った後や朝起きた直後に、膝のこわばりや痛みを感じることがあります。

特に、和式トイレや正座から立ち上がる際に顕著に現れます。このこわばりは、通常しばらく動くと和らぎますが、症状が進行すると持続時間が長くなります。

 

ストレッチや軽い運動で血行を促進することで、こわばりを軽減できることがあります。

 

正座やしゃがみ込み時の不快感

日本の生活様式では避けられない動作の一つですが、正座やしゃがみ込みの際に膝の痛みや不快感を感じることがあります。

これは、膝を深く曲げることで関節内の圧力が高まり、摩耗した軟骨部分に強い負荷がかかるためです。

 

症状がある場合は、できるだけこれらの動作を避け、椅子を使用するなどの代替手段を考えることが大切です。

 

変形性膝関節症に効果的な3つの一般的治療法

変形性膝関節症の治療には様々なアプローチがありますが、ここでは特に効果的とされる3つの治療法について詳しく解説します。

 

適切な運動療法とリハビリテーション

運動療法は、変形性膝関節症の管理において非常に重要な役割を果たします。適切な運動は、膝周りの筋力を強化し、関節の安定性を高めます。また、関節液の循環を促進し、軟骨の栄養状態を改善する効果もあります。

 

特に、大腿四頭筋の強化は重要です。例えば、座った状態で足を持ち上げる運動や、壁に背中をつけて行うスクワットなどが効果的です。また、水中歩行やサイクリングなど、膝への負担が少ない有酸素運動も推奨されます。

 

ただし、運動の種類や強度は個人の状態に合わせて慎重に選択する必要があります。理学療法士や専門医の指導のもと、適切なプログラムを作成することが大切です。

 

ヒアルロン酸注射による関節機能改善

ヒアルロン酸は関節液の主成分の一つで、関節の潤滑性を高め、衝撃を吸収する役割があります。変形性膝関節症では、このヒアルロン酸の量や質が低下していることがあります。

 

ヒアルロン酸注射治療では、高純度のヒアルロン酸を直接関節内に注入します。これにより、関節の潤滑性が向上し、痛みの軽減や動きの改善が期待できます。効果は個人差がありますが、多くの場合、数週間から数ヶ月持続します。

 

この治療は比較的低侵襲で、外来で受けられる利点がありますが、効果の持続性には限界があり、定期的な治療が必要になることがあります。

 

BME再生医療の活用

最新の治療法として注目を集めているのが、BME(Bone Marrow Exosome)再生医療です。この治療法は、骨髄から抽出したエクソソームを用いて、損傷した軟骨組織の修復と再生を促進します。

 

エクソソームには様々な成長因子やサイトカインが含まれており、これらが軟骨細胞の増殖と分化を促進します。また、強力な抗炎症作用もあるため、関節内の炎症を抑制し、痛みの軽減にも効果があります。

 

BME再生医療の大きな利点は、単に症状を緩和するだけでなく、軟骨組織の実質的な修復を促す可能性があることです。また、患者さん自身の細胞由来の成分を使用するため、拒絶反応のリスクが極めて低く、安全性が高いことも特徴です。

 

まずはご相談ください

どんな些細な症状でも、まずはご相談ください。私たちが最適な治療法をご提案いたします。膝の痛みから解放され、活動的な生活を取り戻しましょう。当クリニックでは、最新の医学的知見に基づいた診断と治療を提供しています。

また、患者さん一人ひとりのライフスタイルや希望に寄り添った、きめ細やかな医療サービスを心がけています。

膝の健康は、全身の健康と深く関わっています。膝の問題によって活動量が減ると、体全体の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。逆に言えば、膝の健康を取り戻すことで、全身の健康増進にもつながるのです。再生医療を通じて、皆様がより健康で活動的な生活を送れるよう、私たちは全力でサポートいたします。

お気軽にご相談ください。

 


竹下整形外科

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