膝の裏側 痛みが起こる3つの代表的な原因

膝の裏側に生じる痛みは、なかなか原因がつかみにくいため、そのまま我慢してしまう方も多い印象です。
けれど早めのケアが、将来の快適な歩行や生活に大きく影響します。

膝の裏側 痛みが起こる3つの代表的な原因

ここでは、膝裏の痛みに直結しやすいトラブルを三つ取り上げ、その特徴や背景に迫ります。
半月板や靭帯のトラブルなのか、筋や腱の疲労なのか、あるいは軟骨の変性が関係しているのか。
それぞれのケースを知ることで、不安を少しでも和らげていただければ幸いです。

半月板や靭帯の損傷

激しい運動や急な体勢の変化による衝撃が、思いのほか膝裏にまで負荷をかけることがあります。
特にスポーツ中に、膝をねじったり大きく曲げたりした際に「膝の裏に痛みが走った」と感じた場合には、半月板や膝の主要な靭帯に微細な損傷が生じているかもしれません。
また、転倒や着地の失敗などで強い力が加わった場合、膝裏の組織が部分的に傷つくだけでなく、炎症が連鎖的に起こることも珍しくありません。
損傷がわずかなときは、痛みが出たり消えたりを繰り返しながら進行するケースもあるため、早期の確認が大切になります。

筋・腱の炎症や疲労

長時間の立ち仕事や、無理な姿勢での運動を続けていると、膝裏を支える筋肉や腱に負荷が集中しやすくなります。
膝を曲げ伸ばしするときに主に使われるハムストリングスやふくらはぎ周辺の腱が硬くなると、炎症が生じて「膝の裏だけ痛い」という症状が表に出やすくなります。
また、慢性的に疲労が蓄積したままにしておくと、ごく軽い動作でも鈍い痛みや違和感が走るようになる場合があるため、疲れをため込まない工夫が必要です。
最初はさほど気にならなくても、徐々に階段の上り下りや歩行に支障が出ることもあります。

変形性膝関節症などの軟骨トラブル

中高年以降に多くみられるのが、変形性膝関節症を含む軟骨の摩耗や変性による問題です。
一般に膝の内側や前面に痛みが集中しがちですが、軟骨の擦り減りが進むと膝全体のバランスが崩れ、裏側にも負担が及ぶことが十分に考えられます。
潤滑機能が低下し、関節内で炎症や水が溜まるようになると、腫れや圧迫感が後ろ側にまで響く可能性があります。
軟骨トラブルは自然回復が難しく、放置すればするほど症状が悪化しやすいので、疑いがある際には早めの診断を受けることをおすすめします。

膝の裏側 痛みを見逃さない3つのチェックポイント

膝裏の痛みがどのようなタイミングや状態で強まるのかを把握しておくことで、適切な対処を見つけやすくなります。
ここでは、その気になるサインを見落とさないための三つのポイントを概観していきます。

痛みや腫れの増悪サイクル

痛みや腫れが一時的に治まっても、またしばらくすると再燃する。
そんなサイクルを繰り返しているときは、一過性の筋肉痛とは違い、何らかの慢性化しやすい要因が潜んでいるかもしれません。
たとえば半月板の小さな損傷や腱の慢性的な炎症は、適切な処置を受けずに放置すると「少し良くなったと思ったら、またぶり返す」という状態になりやすいのが特徴です。
お風呂上がりなど血行がよいときに症状が軽くなる一方、冷え込むと痛みが強まる場合にも、炎症や損傷との関係が強いと推測できます。

歩行や屈伸時の違和感の有無

歩くとき、あるいは膝の曲げ伸ばしをするときにピリッとした痛みや詰まるような感覚が生じるなら、筋肉や軟部組織、軟骨のいずれかにトラブルを抱えている可能性があります。
半月板の傷や軟骨の摩耗があると、関節がスムーズに動かなくなるだけでなく、「何かが引っかかるような動作音」や「不安定感」を伴いやすいことも特徴です。
痛みが歩行だけでなく立ち上がりや正座などにも波及していくのなら、比較的進行した状態かもしれません。
そのような場合は迷わず専門家の判断を仰ぎたいところです。

階段の上り下りでの負担感

階段の昇降は、膝関節に体重が大きくかかる場面の一つです。
普段は気にならなかった階段の上り下りで、急に「膝裏の痛みがジワッと残るようになった」と感じるときには、靭帯や軟骨が弱っていたり、筋力が低下している恐れがあります。
また、足を前に出す動作で膝が伸びきりにくいときや、下りで踏み込む瞬間に鋭い痛みが走るときは、軟部組織が炎症を起こしているか、半月板に何らかのダメージがあるかもしれません。
そうした変化にいち早く気づいて、無理に負荷をかける前に受診を検討することが、長期的な膝の健康を守る第一歩です。

膝の裏側 痛みを緩和する3つの治療・ケア方法

膝裏の痛みを感じた際、どのような治療を行うかは症状の原因や程度によって変わります。
ここでは代表的な治療・ケアの手段を三つ取り上げ、どのような状況で適切とされるかをお伝えします。

適切なリハビリと物理療法

軽度の筋肉疲労や腱の炎症が主たる原因の場合、理学療法士によるリハビリや物理療法が大きな効果をもたらします。
適度なストレッチや筋トレを組み合わせつつ、アイシングや超音波療法などで炎症を抑えると、痛みの再発を防ぎやすくなります。
また、硬くなった筋肉をほぐし、膝の裏側にかかる負担を減らすことで、歩行時の安定性を高めることにもつながります。
専門家の指導のもと、痛みに合わせたメニューを無理なく続けることが重要です。

注射や内服薬を用いた対症療法

半月板損傷や変形性膝関節症など、物理療法だけでは改善が難しい場合には、医師の判断でヒアルロン酸注射やステロイド注射などを取り入れることがあります。
特に関節内の炎症が強いときには、内服薬や塗り薬を併用することで痛みを和らげ、リハビリや運動療法に取り組みやすくする効果が期待できます。
ただし、薬や注射はあくまでも症状を緩和する手段であり、根本的な原因が何かを突き止め、必要に応じて継続的にケアを行う視点も忘れずに持つことが大事です。
早期の対処で痛みをコントロールし、日常生活に支障が出ないように導いていくのが理想となります。

症状に応じた手術的アプローチ

変形性膝関節症が進行して、軟骨が大きく摩耗している場合や、半月板が大きく損傷しているケースでは、手術的な治療が検討されることがあります。
代表的な手術としては、関節鏡を用いて損傷した部分を修復・切除する関節鏡視下手術、人工関節を置換する手術などが挙げられます。
手術を回避できるに越したことはありませんが、痛みが強く日常生活に大きな支障をきたしている場合や、保存療法で効果が得られない場合に備えて「いつ手術を検討するか」を頭の片隅に置いておくことも必要です。
主治医との相談を重ねて、手術後のリハビリ計画などを含めた長期的な視点で判断するのがよいでしょう。

まとめ

専門的な治療によって不安を取り除き、早めに膝の裏側の痛みを改善することが可能です。
ぜひ当クリニックにご相談いただき、最適な方法を一緒に考えてみませんか。