膝痛と股関節痛の同時発症はなぜ起こる?原因と対処法を専門解説

変形性膝関節症

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「膝が痛いと思っていたら、最近股関節まで痛くなってきた…」「立ち上がるとき膝も股関節も両方痛む」このようなお悩みを抱えている方は少なくありません。実は膝痛と股関節痛は同時に起こりやすく、お互いに影響し合って症状が悪化するケースが多く見られます。

一つの関節をかばっているうちに、他の関節にも負担がかかり、気づいた時には複数の場所で痛みが生じている状況です。しかし、適切な知識とケアによって、この悪循環を断ち切ることは可能です。

このページでわかること

  • 膝痛と股関節痛が同時に起こる理由とメカニズム
  • それぞれの関節痛の特徴的な症状の違い
  • 日常生活でできる効果的なセルフケア方法
  • 医療機関での治療選択肢と受診のタイミング
  • 痛みの悪循環を断ち切る生活の工夫

膝痛と股関節痛が同時に起こる原因とメカニズム

関節の連動性による影響

膝関節と股関節は、歩行や立ち座りの動作において密接に連携して働いています。膝に痛みがあると、無意識のうちに膝をかばう歩き方や動作になり、その結果股関節に通常以上の負荷がかかります。

股関節は本来、膝関節と協調して体重を支え、動作時の衝撃を分散させる役割を担っています。しかし膝の痛みによってこのバランスが崩れると、股関節が代償的に過度な働きを強いられ、やがて股関節自体にも痛みが生じるのです。

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反対に股関節に問題がある場合も、膝関節が代償動作を取ることで膝痛が発症することがあります。このように、下肢の関節は相互に影響し合う構造になっているため、一箇所の問題が他の部位の痛みを引き起こす可能性が高いのです。

加齢による関節の変化

40代以降になると、関節軟骨の弾力性が徐々に低下し、関節間のクッション機能が弱くなってきます。特に膝関節は体重の負荷を直接受けやすく、軟骨のすり減りによる変形性膝関節症のリスクが高まります。

同時に股関節でも、軟骨の変性や関節包の柔軟性低下が進行します。筋力の衰えも加わることで、関節の安定性が損なわれ、日常動作での負担が増大する傾向にあります。

これらの変化は同時期に進行することが多いため、膝痛と股関節痛が併発しやすい背景となっています。また、ホルモンバランスの変化も関節の健康に影響を与えることが知られており、特に女性では更年期以降に関節痛が増加する傾向があります。

生活習慣と姿勢の影響

長時間のデスクワークや運動不足により、股関節周囲の筋肉が硬くなると、股関節の可動域が制限されます。この状態で歩行や階段昇降を行うと、股関節の動きが不十分になり、膝関節により大きな負荷がかかることになります。

また、O脚やX脚などの脚のアライメント異常があると、膝関節と股関節の両方に不均等な負荷が継続的にかかります。この状態が長期間続くことで、両関節に痛みが生じる可能性が高くなります。

体重の増加も重要な要因の一つです。膝関節には歩行時に体重の約3倍、階段昇降時には約7倍の負荷がかかると考えられており、股関節にも同様に大きな負担がかかっています。

膝痛と股関節痛の症状の特徴と見分け方

膝痛の特徴的な症状

膝痛の最も典型的な症状は、動作開始時の痛みです。朝起きた時の最初の一歩や、椅子から立ち上がる瞬間に強い痛みを感じることが多く、少し動いているうちに痛みが軽減する傾向があります。

階段の昇降時、特に降りる時に膝の前面や内側に痛みが生じるのも特徴的です。膝の曲げ伸ばしの際にギシギシとした音(轢音)が聞こえることもあり、関節内の軟骨や半月板の変化を示唆している可能性があります。

症状が進行すると、膝関節の腫れや熱感、朝のこわばりなどが現れることもあります。正座や深くしゃがむ動作が困難になり、膝の完全な曲げ伸ばしができなくなる場合もあります。

股関節痛の特徴的な症状

股関節痛は、鼠径部(そけいぶ)の痛みとして現れることが最も多く、太ももの付け根から内側にかけての不快感や痛みが特徴的です。歩き始めや長時間歩いた後に症状が強くなる傾向があります。

股関節の可動域制限も重要な症状の一つで、靴下を履く動作や足の爪切りが困難になることがあります。また、あぐらをかく姿勢や、足を外側に開く動作で痛みが増強する場合が多く見られます。

股関節痛の特徴として、お尻や太ももの外側、時には膝の周辺まで痛みが放散することがあります。これは関連痛と呼ばれる現象で、実際の問題は股関節にあっても、膝周辺の痛みとして感じられることがあるのです。

同時発症時の症状パターン

膝痛と股関節痛が同時に存在する場合、歩行パターンの変化が顕著に現れます。痛みを避けるために歩幅が小さくなり、足を引きずるような歩き方になることがあります。

立ち上がりや座る動作が特に困難になり、手すりや支えなしでは辛い状態になることも多く見られます。また、片方の関節をかばうことで、反対側の脚により大きな負担がかかり、症状が左右に広がることもあります。

夜間の痛みや朝のこわばりが両方の関節で同時に起こることもあり、日常生活の質が大きく低下する可能性があります。このような場合は、包括的なアプローチでの対処が重要になります。

膝痛と股関節痛のセルフケア方法

効果的なストレッチング

股関節周囲の柔軟性を改善するために、大腿四頭筋とハムストリングスのストレッチを日常的に行うことが重要です。仰向けに寝て片膝を胸に引き寄せるストレッチは、股関節前面の筋肉を効果的に伸ばすことができます。

膝関節の可動域を維持するためには、座った状態で膝の曲げ伸ばしを行う運動が有効です。痛みの範囲内で無理をせず、ゆっくりとした動作で行うことがポイントです。

太ももの内側の筋肉(内転筋)のストレッチも、股関節と膝関節の両方に良い影響を与えます。足裏を合わせて座り、膝を床に近づけるようにゆっくりと押し下げる動作を、30秒程度キープしながら行います。

筋力強化エクササイズ

大腿四頭筋の強化は、膝関節の安定性向上に直結します。椅子に座った状態で片脚を伸ばし、5秒間キープする運動を、片脚10回ずつ行うことから始めましょう。

股関節周囲筋群の強化には、横向きに寝て上側の脚を上下に動かす運動(サイドレッグレイズ)が効果的です。お尻の筋肉(大臀筋)を意識しながら、ゆっくりとした動作で行います。

体幹の安定性も重要な要素です。壁に背中をつけてスクワットのような動作を行う「ウォールスクワット」は、膝と股関節の両方に適度な負荷をかけながら筋力を向上させることができます。

日常生活での工夫

階段の昇降時は手すりを活用し、「良い脚から上り、痛い脚から下りる」という基本原則を意識しましょう。急がずに一段ずつ確実に足を運ぶことで、関節への負担を軽減できます。

椅子からの立ち上がりでは、足を椅子の下に引いて、前傾姿勢を取ってから立ち上がると、膝と股関節への負担が分散されます。肘掛けのある椅子を使用することも、関節への負担軽減に有効です。

靴選びも重要な要素です。クッション性があり、適度な安定性を提供する靴を選ぶことで、歩行時の衝撃を緩和し、関節への負担を軽減することができます。

温熱療法と冷却療法

慢性的な痛みがある場合は、温熱療法が効果的です。お風呂でゆっくりと温まることで血行が改善され、筋肉の緊張がほぐれて痛みの軽減につながります。

急性の炎症や腫れがある場合は、冷却療法を選択します。氷をタオルで包んで15-20分間患部に当てることで、炎症の進行を抑制し、痛みを和らげることができます。

温熱療法と冷却療法の使い分けは、症状の性質によって決まります。朝のこわばりや動作開始時の痛みには温熱を、運動後や一日の終わりの痛みには冷却を用いることが一般的です。

医療機関での診断と治療選択肢

適切な受診タイミング

セルフケアを2-3週間続けても症状の改善が見られない場合、専門医への受診を検討することが重要です。特に日常生活に支障をきたすレベルの痛みがある場合は、早期の受診が推奨されます。

夜間痛や安静時の痛みが続く場合、関節の変形や炎症が進行している可能性があります。また、歩行距離の著しい制限や、階段昇降が困難になった場合も、医療機関での精密検査が必要な状況です。

発熱を伴う関節痛や、関節の著明な腫れ、皮膚の色調変化がある場合は、感染症や他の疾患の可能性もあるため、速やかな受診が必要です。

診断のプロセス

医療機関では、まず詳細な問診と身体診察が行われます。痛みの部位、性質、発症時期、悪化要因などについて詳しく聴取し、関節の可動域や圧痛点、歩行状態などを評価します。

画像診断では、X線検査(レントゲン)により関節の変形や軟骨の状態、骨棘の有無などを確認します。必要に応じてMRI検査を行い、軟骨や半月板、靭帯の詳細な状態を評価することもあります。

血液検査により、関節リウマチなどの炎症性疾患の除外診断が行われることもあります。関節液の検査が必要な場合もあり、感染症や結晶性関節症の診断に役立ちます。

保存的治療の選択肢

薬物療法では、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)による痛みと炎症の制御が第一選択となることが多くあります。外用薬(湿布や塗り薬)から開始し、必要に応じて内服薬を併用します。

理学療法では、専門の理学療法士による個別の運動プログラムが作成されます。関節可動域訓練、筋力強化、歩行訓練などを段階的に進めることで、機能改善を図ります。

関節内注射療法として、ヒアルロン酸注射やステロイド注射が行われることがあります。これらは関節の潤滑性改善や炎症抑制を目的として実施され、症状の軽減に効果を示すことがあります。

手術以外の先進的治療法

近年注目されているのが、再生医療を応用した治療法です。患者さん自身の細胞や成長因子を活用することで、関節の自然治癒力を高める治療アプローチが研究・実践されています。

体外衝撃波治療や高周波治療など、非侵襲的な物理療法も選択肢の一つです。これらの治療は痛みの軽減と組織の修復促進を目的として行われ、手術を避けたい患者さんにとって有益な選択肢となっています。

装具療法では、膝サポーターや足底板などを使用して関節への負担を軽減し、痛みの軽減と機能改善を図ります。個人の症状と生活スタイルに合わせたオーダーメイドの装具作成も可能です。

予防と生活習慣の改善

体重管理の重要性

関節への負担軽減において、適正体重の維持は最も重要な要素の一つです。体重1kgの減少により、歩行時の膝関節への負荷は約3kg軽減されると考えられています。

急激な体重減少ではなく、月1-2kg程度の緩やかな減量を目標とすることが大切です。バランスの取れた食事と適度な運動を組み合わせることで、筋力を維持しながら体重をコントロールできます。

栄養面では、関節軟骨の材料となるコラーゲンやグルコサミン、コンドロイチンを含む食品の摂取も推奨されています。魚類、鶏肉、緑黄色野菜をバランスよく摂取することが関節の健康維持に寄与します。

運動習慣の確立

関節に優しい有酸素運動として、水中ウォーキングや水中エクササイズが推奨されます。水の浮力により関節への負担が軽減されながら、筋力維持と心肺機能向上を図ることができます。

陸上での運動では、平地でのウォーキングから始めて徐々に歩行時間と距離を延ばしていきます。1日30分程度の歩行を週3-5回行うことを目標とし、痛みの状況に応じて調整します。

自転車こぎも関節に優しい運動として推奨されます。関節への衝撃が少ない状態で、太ももの筋肉を効果的に鍛えることができ、関節の可動域維持にも役立ちます。

生活環境の整備

住環境の改善により、関節への負担を大幅に軽減することが可能です。階段の手すり設置、段差の解消、滑り止めマットの活用などにより、安全で負担の少ない生活環境を整えます。

椅子やベッドの高さ調整も重要な要素です。立ち座りしやすい高さに調整することで、関節への負担を軽減し、日常動作を楽にすることができます。

仕事環境では、長時間の同一姿勢を避け、定期的に立ち上がって軽いストレッチを行う習慣をつけることが大切です。デスクワーク中心の方は、1時間に1回は立ち上がって歩き回ることを心がけましょう。

膝痛と股関節痛の同時発症は、適切な知識と継続的なケアにより改善が期待できます。セルフケアを基本としながら、必要に応じて専門医療機関での治療を組み合わせることで、より良い結果を得ることができるでしょう。

ご自身でできる対策を実践しても症状の改善が得られない場合は、専門医に相談することをお勧めします。

セルフケアを続けても良くならない膝の痛みでお悩みの方へ

このブログで紹介したセルフケアは、多くの方にとって有効な方法ですが、「半年以上続けても改善しない」「日常生活に支障が出ている」場合、関節自体のダメージが進んでいる可能性があります。

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