膝関節液の役割とは?痛みや腫れとの関係を専門医が解説

変形性膝関節症

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膝の痛みや腫れで病院を受診した際、「関節に水が溜まっていますね」と言われた経験はありませんか。この「水」の正体が膝関節液です。膝の動きをスムーズにする大切な役割を担っているにも関わらず、その詳しい働きについて知る機会は少ないものです。

実は膝関節液の異常は、変形性膝関節症や半月板損傷などの症状と密接に関係しています。関節液について正しく理解することで、膝の痛みの原因や適切な対処法が見えてくる可能性があります。

このページでわかること

  • 膝関節液の基本的な役割と重要性
  • 関節液の異常が引き起こす症状
  • 関節液のトラブルを改善するセルフケア
  • 病院での治療選択肢と受診のタイミング

膝関節液とは?基本的な役割を理解する

膝関節液の構成と特徴

膝関節液は、膝関節を包む関節包の内側にある滑膜から分泌される透明な液体です。正常な状態では、膝関節内に約1〜3mlの少量が存在しています。

この液体の主成分は水分ですが、ヒアルロン酸、タンパク質、電解質なども含まれています。特にヒアルロン酸は粘性を与える重要な成分で、関節液の質を左右する要素です。

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潤滑作用による膝の動きの維持

膝関節液の最も重要な役割の一つが潤滑作用です。膝を曲げ伸ばしする際、大腿骨と脛骨の表面を覆う軟骨同士が直接擦れ合わないよう、関節液が潤滑油の働きをします。

この潤滑効果により、日常生活での歩行や階段の昇降、しゃがむ動作などがスムーズに行えます。関節液が不足したり質が悪化したりすると、軟骨同士の摩擦が増加し、痛みや炎症の原因となる可能性があります。

軟骨への栄養供給機能

膝関節液のもう一つの重要な役割が、軟骨への栄養供給です。軟骨には血管が通っていないため、血液から直接栄養を受け取ることができません。

そのため、関節液が血液から必要な栄養素を取り込み、軟骨へと運搬する役割を担っています。また、軟骨の老廃物を回収し、関節外へと運び出す働きもあります。この栄養供給と老廃物除去のサイクルが、軟骨の健康維持に不可欠です。

衝撃吸収と関節の保護

関節液は膝にかかる衝撃を和らげるクッションの役割も果たしています。歩行時や運動時に膝関節にかかる負荷を分散し、軟骨や骨への直接的なダメージを軽減します。

さらに、関節液は関節内の環境を一定に保つ働きもあります。細菌の侵入を防ぎ、関節内の温度や pH を適切な範囲に維持することで、膝関節全体の健康を守っています。

関節液の異常が引き起こす膝の症状

関節液の量的異常とその影響

関節液の量に異常が生じると、さまざまな症状が現れます。最も多い異常は関節液の過剰産生で、いわゆる「膝に水が溜まる」状態です。

正常時の1〜3mlに対し、時には50ml以上の関節液が溜まることがあります。この状態では膝の腫れ、重だるさ、曲げ伸ばしの制限などの症状が現れる可能性があります。

逆に関節液が不足すると、潤滑不足により軟骨同士の摩擦が増加します。その結果、動作時の痛みやこわばり、関節の動きの悪化などが生じる可能性があります。

関節液の質的変化による影響

関節液は量だけでなく、質の変化も症状に大きく影響します。炎症が起こると関節液中の白血球が増加し、液体が濁ったり粘性が低下したりします。

ヒアルロン酸の濃度が減少すると、潤滑作用が低下し、軟骨への栄養供給も十分に行われなくなります。これにより、軟骨の変性や摩耗が進行しやすくなる可能性があります。

変形性膝関節症との関係

変形性膝関節症では、関節液の異常が症状の進行に深く関わっています。軟骨の摩耗により関節内に炎症が起こり、滑膜が刺激されて関節液の過剰産生が生じます。

この過剰な関節液は質も悪化しており、本来の潤滑や栄養供給の機能が十分に果たされません。その結果、さらなる軟骨の劣化を招く悪循環が形成される可能性があります。

半月板損傷による関節液への影響

半月板が損傷すると、その破片や炎症性物質が関節液中に混入します。これにより関節液の質が悪化し、さらなる炎症を引き起こす可能性があります。

また、半月板の機能低下により関節の安定性が損なわれ、異常な負荷がかかることで関節液の産生バランスも崩れやすくなります。

日常生活でできる関節液改善のセルフケア

適度な運動による関節液の循環促進

関節液の健康維持には、適度な運動による循環促進が重要です。膝の曲げ伸ばし運動により、関節液が関節内を循環し、軟骨への栄養供給が改善される可能性があります。

特におすすめなのは、膝に負担をかけにくい水中ウォーキングや自転車こぎです。これらの運動は関節への衝撃を抑えながら、関節液の循環を促進できます。

椅子に座ったままできる膝の曲げ伸ばし運動も効果的です。1日3回、10〜15回程度を目安に行うことで、関節液の滞留を防ぎ、質の改善にもつながる可能性があります。

体重管理による膝への負荷軽減

体重の増加は膝関節への負荷を増大させ、関節液の異常産生を引き起こす要因となります。適正体重の維持により、関節への過度な負担を避けることが重要です。

歩行時には体重の約3倍、階段昇降時には約5倍の負荷が膝にかかると言われています。体重を1kg減らすだけでも、膝への負荷は大幅に軽減される可能性があります。

冷却と温熱療法の使い分け

膝の状態に応じて、冷却と温熱療法を使い分けることが効果的です。急性の炎症や腫れがある場合は、15〜20分程度のアイシングが炎症の抑制に役立つ可能性があります。

慢性的なこわばりや動きの悪さが主な症状の場合は、温熱療法が適しています。入浴やホットパックにより血行を改善し、関節液の循環促進が期待できます。

食事による関節液の質改善サポート

関節液の主要成分であるヒアルロン酸の材料となる栄養素を積極的に摂取することも大切です。コラーゲンやグルコサミン、コンドロイチンなどの成分は、関節液の質向上に寄与する可能性があります。

また、炎症を抑制する作用のあるオメガ3脂肪酸(魚油など)や、抗酸化作用のあるビタミンCやEの摂取も、関節液の健康維持に役立つ可能性があります。

病院での診断と治療選択肢

関節液異常の診断方法

病院では、問診・触診に加えて画像検査により関節液の異常を診断します。X線検査では関節液自体は写りませんが、関節の変形や軟骨の状態を確認できます。

MRI検査では関節液の貯留量や性状をより詳細に観察できます。超音波検査も関節液の量を測定する際に使用される場合があります。

必要に応じて関節穿刺を行い、関節液を直接採取して成分分析を行うこともあります。この検査により、炎症の程度や感染の有無を詳しく調べることが可能です。

関節液除去(穿刺)の効果と限界

関節液が過剰に貯留している場合、注射器を用いて余分な関節液を除去する治療が行われることがあります。この処置により、膝の腫れや圧迫感の改善が期待できます。

ただし、関節穿刺は対症療法であり、根本的な原因の解決にはなりません。関節液が再び貯留する可能性があるため、原因となっている病気の治療が重要です。

ヒアルロン酸注射による治療

関節液の質が低下している場合、ヒアルロン酸の関節内注射が行われることがあります。この治療により、関節液の粘性向上と潤滑機能の改善が期待されます。

ヒアルロン酸注射は通常、週1回×5回程度を1クールとして行われます。効果の持続期間は個人差がありますが、3〜6か月程度とされています。

手術が必要となるケース

保存的治療で改善が見られない場合や、関節の破壊が進行している場合は手術が検討されます。関節鏡手術では、損傷した半月板や軟骨片の除去、滑膜の部分切除などが行われます。

重度の変形性膝関節症では、人工関節置換術が選択される場合もあります。これらの手術により、関節液の異常産生の原因を根本的に改善できる可能性があります。

受診のタイミングと治療選択のポイント

早期受診が推奨される症状

以下の症状がある場合は、早めの受診が推奨されます。膝の明らかな腫れが持続している、発熱を伴う膝の痛み、膝の曲げ伸ばしが極端に制限されている状態です。

また、外傷後に膝の腫れや痛みが続く場合も、半月板損傷や靭帯損傷の可能性があるため、早期の診断が重要です。

セルフケアとの併用ポイント

医師の治療を受けながらも、日常生活でのセルフケアは継続的に行うことが大切です。処方された薬の服用と並行して、適度な運動や体重管理を続けることで、より良い治療効果が期待できます。

ただし、急性期の炎症がある場合は、運動の内容や強度について医師と相談することが重要です。

治療選択における個人差の考慮

関節液の異常に対する治療法は、患者の年齢、活動レベル、症状の程度、他の疾患の有無などを総合的に考慮して決定されます。同じ診断名でも、個人の状況により最適な治療法は異なります。

治療選択に迷った際は、セカンドオピニオンを求めることも一つの選択肢です。複数の専門医の意見を聞くことで、より納得のいく治療方針を決定できる可能性があります。

膝関節液は私たちの膝の健康を支える重要な要素です。その役割を正しく理解し、適切なケアを行うことで、膝の痛みや不調の改善につながる可能性があります。

セルフケアを継続的に行いながらも、症状が続く場合は専門医による適切な診断と治療を受けることが、膝の健康維持には欠かせません。

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