膝腰の痛みを招く3つの主な原因

立ち上がるときや歩行時に膝や腰がじんわり痛むと、不安が増して日々の暮らしまで制限されがちです。
今回は、痛みの原因と対処法を幅広くお伝えいたします。

膝腰の痛みを招く3つの主な原因

ここでは、膝や腰に負担がかかる背景として考えられる代表的な要因を三つに分け、その特徴と注意点をご説明します。
それぞれの原因がどのように痛みを引き起こすのかを理解しておくと、今後の予防や日々の対策にも役立つはずです。

長時間の同一姿勢や過度な負担

デスクワークや立ち仕事などで同じ姿勢を保ち続けると、膝と腰に負担が蓄積しやすくなります。
例えば長時間座りっぱなしになると、膝の関節周辺や腰回りの筋肉が硬直し、血流が滞ってしまいやすいです。
血行の悪化は痛みの原因となる炎症を引き起こす要素になるだけでなく、回復力を低下させる一因にもなりかねません。
また、過度な負担といえば重い荷物を持ち上げる作業や激しい運動も含まれます。
急に無理をして重量物を扱うと、腰の椎間板へ大きな圧がかかることがあり、これがぎっくり腰や関節の損傷を招くこともあるでしょう。
このように長い時間同じ姿勢をとることと、短時間に極端に大きな負担をかけることの両方が、膝や腰の痛みを増幅させる要因だと考えられます。

加齢による軟骨の摩耗と骨格の変化

年齢を重ねるに伴い、膝や腰などの関節でクッションの役割を果たしている軟骨が徐々にすり減っていきます。
関節の滑らかな動きが失われていくと、骨と骨が当たりやすくなり、痛みや炎症を引き起こすリスクが高まるのです。
さらに骨格自体が変化し、背骨の隙間が狭くなることで神経に触れるケースもあります。
特に脊柱管狭窄症などでは、腰の神経が圧迫されて足先や太ももまで痛みやしびれを感じることも珍しくありません。
加齢による変性は完全に避けることは難しいものの、適度な運動や体操で筋肉を維持することにより症状を抑えられる可能性があります。
それでも痛みや不調を強く感じ始めたら、専門の医療機関を早めに受診して状態を確認するとよいでしょう。

運動不足による筋力低下

日常的に運動量が少ないと、下半身を支える大腿四頭筋やハムストリングス、体幹を安定させる腹筋や背筋などの筋肉が衰えやすいです。
膝や腰をしっかりサポートすべき筋力が十分に働かないと、関節部分に負担が集中するようになります。
筋肉は骨格を正しい位置に保ち、動作をスムーズにする役割がありますが、運動不足のまま長期間過ごすと筋肉の量だけでなく、柔軟性も低下してしまうでしょう。
結果として、軽い動作でも膝や腰に違和感を覚えたり、立ち上がるだけで痛みが生じたりするようになり、その痛みがさらに活動量を減らす悪循環に陥る可能性があります。
もし「最近あまり動いていないな」と感じる人が慢性的な痛みを抱えているのなら、運動量の見直しを図ることが重要です。

膝腰の痛みを緩和する3つのセルフケア

上記の原因を踏まえたうえで、自宅や職場などで実践できるセルフケアの方法をご紹介します。
病院に行く前や、治療を受けながらも並行して行うことで、痛みの軽減につながる可能性があります。
ここでは、日常生活のなかですぐに取り入れやすい三つの取り組みを順番にお話ししましょう。

適切なストレッチと筋力トレーニング

セルフケアの第一歩は、硬くなった筋肉を丁寧に伸ばし、関節周りの柔軟性を高めることです。
簡単な方法としては、膝裏から太ももにかけての筋をほぐすストレッチや、腰回りを左右に軽くひねる運動が挙げられます。
朝起きたときや長時間同じ姿勢が続いたと感じたとき、立ち上がる前に軽く体をほぐしておくと筋肉のこわばりを緩和できるでしょう。
その後、負荷の軽いスクワットやヒップリフトなどを行うことで、大腿やお尻の筋力アップに取り組む方法も効果的です。
スクワットの場合、無理に深く腰を落とし過ぎると痛みを感じやすいので、軽めに曲げ伸ばしするだけでもじゅうぶん筋肉に刺激が入ります。
これらのエクササイズを継続することで膝と腰のクッション機能を助ける筋力が養われ、痛みの緩和にもつながるのです。

保温とサポーターの活用

次に、膝や腰を温めて血流を促進し、痛みを和らげる方法が挙げられます。
特に入浴時や就寝前などに、温タオルや使い捨てカイロを活用して患部を適度に温めると筋肉がほぐれて疲労回復に寄与しやすいです。
また、痛みが強いときはサポーターの使用も検討してみてください。
膝や腰のサポーターは関節部分や腰回りを安定させる効果があるため、姿勢の崩れを防ぎ、動作時の不安定さを緩和してくれます。
ただし、サポーターをつけることで筋肉をあまり使わなくなる側面もあります。
そのため長時間つけっ放しにするよりは、痛みの強いときや外出時などに状況を見ながら使い分けていくことを心掛けるとよいでしょう。

正しい姿勢を意識した日常動作

姿勢が崩れたまま生活を続けると、膝や腰への負荷はさらに増してしまいます。
立ち上がるときは足を肩幅に開き、できるだけ背筋を伸ばして重心を前後どちらにも偏らせないように意識すると痛みを軽減できるケースがあります。
座っているときも、背もたれに軽くもたれて骨盤をやや立てるように心掛けることが大切です。
デスクワークのときであれば、パソコン画面を目線の高さに合わせ、椅子の高さを調整して肘や膝が直角程度に曲がるようにセットすると負担が少なくなるでしょう。
こうした小さな修正の積み重ねが、膝や腰への負荷を和らげることにつながります。
加えて、荷物を持ち上げるときは腰だけでなく脚の筋力を使うようにすると、痛みの原因となる急な腰の反りを避けられます。

膝腰の痛みに効果的な3つの治療法

セルフケアだけでは改善が難しい場合、医療機関での治療を検討することが大切です。
ここでは、専門医の診察や注射治療、さらにリハビリテーションや手術まで、代表的な治療方法を三つ挙げてご紹介いたします。
症状の度合いやご本人の生活スタイルに合わせて選択肢を探ることが、早期回復への近道となるでしょう。

専門医による診察と注射治療

痛みが長引く場合は整形外科やペインクリニックなどの専門医を受診するのが望ましいです。
医師が画像検査や触診によって痛みの原因部位や重症度を見極め、適切な治療方針を立てます。
たとえば膝関節に炎症が生じているならば、ステロイド注射を用いて痛みと炎症を直接抑えることも可能です。
ヒアルロン酸注射によって軟骨部分の潤滑を良くし、関節のスムーズな動きを取り戻す治療もよく行われます。
腰の痛みに対しては神経ブロック注射を活用し、炎症部分をピンポイントで鎮める手法が検討されることもあります。
こうした注射治療は痛みの軽減が比較的早く得られる反面、根本的な体の使い方や筋力不足などを改善しない限り、再発する可能性があることは頭に入れておきましょう。

リハビリテーションと物理療法

注射や内服薬などで炎症が治まった段階で、リハビリテーションに取り組むことは非常に重要です。
理学療法士や作業療法士などの専門家が、個人の症状や体力に合わせて運動プログラムを作成し、徐々に筋力や可動域を向上させていきます。
理学療法の一環として、温熱療法や低周波、超音波といった物理療法が使われる場合もあります。
これらの物理療法は血行促進や筋肉の緊張緩和を狙うもので、痛みの原因となる炎症のケアをサポートする役割を果たします。
リハビリを始めた直後は、思うように体が動かせず痛みを感じる瞬間もあるかもしれません。
しかし専門家の指示に従って適切にリハビリを継続すれば、関節にかかる負荷の分散がしやすい動き方を身につけることが期待できます。

手術が必要なケースと術後のリハビリ

変形性膝関節症が進行して骨と骨が直接擦れ合うような状態であったり、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などが重度に進んでいたりする場合は、手術が視野に入るケースがあります。
膝の人工関節置換術では、傷んだ関節を人工の素材に置き換えることで痛みを大幅に改善することが見込めます。
腰の手術においては神経の圧迫部分を除去し、痛みとしびれを減らす方法が取られることも少なくありません。
ただし手術を選択して痛みが軽減されたとしても、術後のリハビリは欠かせないステップです。
手術によって固定や矯正を行った筋肉や関節は一時的に動きが制限されるため、生活動作の練習を含めたリハビリを着実に行う必要があります。
専門家の指導を受けつつ、焦らずに少しずつ以前のように歩ける状態へと近づけていくことが大切です。

まとめ

膝や腰の痛みは、適切な対処や医師のサポートを受けることで軽減しやすくなります。
不安があれば早めにクリニックへご相談ください。