膝の痛みと発熱が起こる5つの主な原因

 膝が熱を帯びて痛むと、普段の移動や姿勢維持に困ることが多いものです。
早期発見と治療の重要性を知り、安全に日常を過ごしましょう。

膝に痛みがある上に熱感や発熱が伴う場合、その背景には複数の要因が潜んでいる可能性があります。
ここからは代表的な五つの原因を順に見ていき、発症の仕組みや特徴、そして早めの受診がどのように症状改善につながるかをお伝えします。

膝の痛みと発熱が起こる5つの主な原因

感染性関節炎の可能性

細菌やウイルスなどの感染が関節内部に及ぶと、膝を中心に激しい炎症を起こすことがあります。
特に細菌が侵入して膝の滑膜に定着すると、腫れや痛みが急速に増し、関節部分が熱を帯びる症状が現れやすくなります。
このような感染性の関節炎は、起床時から痛みが激しい場合や歩行が困難になるほど強い負荷を感じる場合に疑われることが多いです。

感染が原因の場合は、一般的に抗生物質の投与が重要となります。
早期に治療を開始しないと、関節内部に膿がたまり、組織のダメージが大きくなるリスクも否めません。
クリニックでの検査によって原因菌を特定し、適切な薬剤を用いることで回復が早まる可能性があります。

関節リウマチの炎症反応

自己免疫疾患である関節リウマチは、主に手指や足指の関節に症状が出るイメージがあります。
しかし進行すると、膝を含む大きな関節にも炎症が波及し、腫れや痛み、発熱感が生じることがあります。
体内の免疫システムが誤って自身の関節組織を攻撃するため、慢性的な炎症が続くと関節構造そのものが損なわれやすい点も見逃せません。

早期の段階では症状が軽微に感じられることもありますが、だるさや微熱が続いたり、朝に膝が強張るように感じたりする場合は注意が必要です。
進行するほど痛みが増し、日常動作へ大きな支障をきたす危険性が高まります。
適切なリウマチ治療薬の使用やリハビリテーションにより、炎症をコントロールしながら生活の質を保つためにも、医療機関での専門的な検査が欠かせません。

痛風発作による急性炎症

痛風はプリン体の代謝異常によって尿酸値が高まり、関節内に尿酸結晶が沈着することで激しい痛みを伴う病気です。
典型的には足の親指の付け根に生じるとされますが、膝が発作の場所になるケースも珍しくありません。
痛みが急に強烈になり、発赤や熱感を感じる場合には、痛風発作を疑う必要があります。

痛風発作は夜間から明け方にかけて発症しやすく、急激に症状が強まることが特徴です。
持続的な高尿酸血症があると再発リスクも高まるため、膝に限らず複数箇所の関節が影響を受けることがあります。
生活習慣の改善や尿酸値を下げる薬剤の導入に加え、クリニックで適切な診断を受けることで、今後の再発を抑制できる可能性があります。

化膿性関節炎の感染

化膿性関節炎は、皮膚や体内のほかの場所に存在する細菌が血液を介して関節に到達してしまうタイプの感染症です。
外傷や他部位の感染をきっかけに膝の関節が冒されると、数日単位で急速に腫れと強い痛みが進行することがあります。
関節液が膿状になることが多く、内部の圧力が高まると非常に強い痛みを訴えるケースが少なくありません。

急激な発熱や、患部の赤み、痛みの範囲が広がっている場合には要注意です。
放置すると軟骨や骨にまで障害が及び、膝の機能が著しく低下する可能性があります。
点滴による抗生物質の使用や、関節液の排出を行う必要が出てくることもあるため、症状が少しでも疑わしい際は速やかに医師の診察を受けましょう。

外傷後の炎症反応

スポーツや転倒などによる膝のケガは、靱帯や半月板の損傷に加えて内部の組織に炎症をもたらすことがあります。
損傷直後は痛みとともに膝を動かしにくい感覚が強く、その後、内出血や腫れが顕在化してくると表面温度が上昇し、熱感を伴うことがあります。
外部からの衝撃で骨や関節周囲が傷つくと、体の防衛反応として炎症が激しく生じるケースもあるため、早期の処置が欠かせません。

スポーツ中の接触プレーで生じた痛みを無理に我慢して動き続けると、組織のさらなる損傷を招きやすいです。
患部のアイシングだけで改善が見込めない場合や、痛みが増して発熱に近い症状を自覚するようであれば、レントゲンやMRIによる検査が推奨されます。
自己判断で放置せず、医師の診断を踏まえた治療を受けることで、将来的な膝機能の保持につなげましょう。

発熱を伴う膝の痛みで注意したい3つのサイン

膝の痛みとともに熱が出る場合、症状の進み方や体全体の状態をよく観察することが大切です。
ここからは、特に気をつけたい三つのポイントを挙げ、その理由や対処の目安を解説します。

急激な症状の悪化

朝や昼に少し痛みを感じる程度だったのに、夕方から夜間にかけて一気に歩行困難になるほど悪化する場合や、数時間のうちに関節周辺の腫れが何倍にも膨れ上がる場合は要注意です。
急激に進行する痛みと発熱は、感染や痛風発作など重篤な原因が隠れている可能性があります。
クリニックを早めに受診することで、治療の遅れによる合併症リスクを回避できるはずです。

全身状態への影響

膝だけでなく、全身のだるさや強い倦怠感、食欲不振や寒気を伴う場合は、局所の炎症にとどまらず体全体に負荷が及んでいるかもしれません。
高熱が長引いたり、普段なら楽にできる動作さえ困難になっている状態は感染症や自己免疫疾患の可能性を含め、より一層慎重に原因を見極める必要があります。
こうした全身的な異変は自己判断での安静では対処しきれないことが多いため、早急に医療機関で検査を受けることが大切です。

関節機能の著しい低下

膝が痛むことで少し動かしづらいという程度ならば、短期間の安静や市販の痛み止めで緩和するケースもあるかもしれません。
しかし、関節が固まったように動きにくくなったり、体重をかけるのも難しいほど痛む場合は深刻です。
内部での炎症が激しく、軟骨や骨にダメージが及ぶ可能性が高まるため、専門的な処置が不可欠になります。
無理に動かして負担を増やすよりも、速やかにクリニックで診察を受け、レントゲンや超音波検査などを受けたうえで最適な治療方針を立てることを優先しましょう。

早期治療が必要な3つの危険な状態

膝の痛みと熱感を軽視していると、知らないうちに重大な病態に発展してしまうことがあります。
ここからは、特に早急な医療介入が必要とされる三つのリスクについて確認しておきましょう。

感染症の進行リスク

化膿性関節炎や感染性関節炎など、細菌や病原体が関与するケースでは初期段階の治療が非常に重要です。
関節内部に病原体が増殖すると、膝周囲だけではなく全身に菌が回り、敗血症のような深刻な合併症を引き起こす恐れもあります。
腫れや発熱、痛みが強まる一方で外からは原因がわかりにくいときほど見逃されやすいので、「おかしい」と感じたら早めに検査を受けてください。

重度の炎症状態

自己免疫疾患や痛風発作などによって膝に強い炎症が起こると、日常的な動作が大きく制限されてしまいます。
痛みのために足を動かしづらくなり、さらに炎症が増幅するという悪循環に陥るケースも少なくありません。
痛みと熱感が同時に続くようであれば、クリニックで血液検査や関節液の検査を受け、炎症の度合いや原因を正しく見極めて適切な薬を使うことが重要です。

関節破壊の危険性

急性または慢性的な炎症が長期間にわたって膝内部に存在すると、関節を構成する軟骨や骨、靱帯などがダメージを受けやすくなります。
関節破壊が進むと可動域が狭まるだけでなく、痛みの度合いも格段に上がっていきます。
特に自己免疫性の炎症や感染症を放置すると、短期間で取り返しのつかないほどのダメージを負うことがあるため、油断は禁物です。
将来的な歩行能力や日常生活の質を守るためにも、早期治療を心がけることが何より大切です。

まとめ

膝の痛みと発熱が続くなら、気になる症状をそのままにせず、専門的な診察を受けてみてください。
当クリニックでは、原因究明から治療までのサポートを丁寧に行います。