膝の痛みを診察する3つの診療科

膝の痛みに悩む方が、どの診療科を受診すべきか迷うことは少なくありません。
自分の症状や原因を知り、適切なケアへとつなげるための情報をお伝えします。
この記事の流れ
膝の痛みを診察する3つの診療科
膝の痛みは多岐にわたる原因が考えられるため、必ずしも一つの診療科だけが最適とは限りません。
主に専門的な検査を行う整形外科、機能回復を重視するリハビリテーション科、炎症などを治療するリウマチ科の3つが、膝の不調を見極める上で重要な役割を担います。
以下では、それぞれの特徴を踏まえ、受診先の選択に役立つポイントをご紹介します。
整形外科での専門的診断
整形外科では、レントゲンやMRI、CTスキャンなどの画像診断を用いて、骨や軟骨の状態を正確に把握します。
特に変形性膝関節症や半月板損傷、靭帯にかかわるトラブルなどを詳細に見極めることが期待できます。
痛みの原因が骨や軟骨の変形、あるいは外傷性のものであれば、整形外科の受診が基本的なファーストステップといえるでしょう。
関節の構造を視覚的にとらえられる分、外科的なアプローチや薬物療法についても包括的に提案してもらえるのが大きなメリットです。
一方で、痛みの背景に筋力の低下や姿勢のアンバランスが潜んでいる場合、追加でリハビリテーションを促されたり、運動療法をサポートしてくれる専門家を紹介してもらえるケースもあります。
整形外科は膝の痛みの「外科的な側面」を確認するのに有用な科といえます。
リハビリテーション科での機能回復
リハビリテーション科は、膝の痛みがあることで動作が制限されている方を対象に、身体機能の向上や再発予防をサポートすることを得意としています。
理学療法士による筋力トレーニングやストレッチ、作業療法士による日常動作の指導など、多角的な視点から身体の使い方を見直し、痛みを緩和しながら動きをスムーズに整えていきます。
また、運動指導が中心になるため、痛みで動きが悪くなることで筋力が落ち、さらに痛みが強まるという悪循環を断ち切るきっかけになります。
仮に手術後の回復を急がず、着実に機能を高めたいとお考えであれば、リハビリテーション科の活用は非常に効果的です。
筋肉や関節の可動域に関する評価も行われるので、整形外科で診断を受けた後のリハビリ先としても選択肢に入るでしょう。
リウマチ科での炎症性疾患の治療
膝の痛みが、免疫機能の異常によって引き起こされるリウマチ性疾患が疑われる場合には、リウマチ科を受診することが重要です。
関節リウマチなどは早期診断と適切な薬物治療が予後を大きく左右します。
痛みのほかにも、腫れや熱感、朝方に強いこわばりがある場合は要注意です。
リウマチ科では血液検査や画像検査を行い、免疫の異常を的確に判断します。
薬物療法が中心となり、必要に応じて整形外科やリハビリテーション科と連携して治療を進めるケースもあります。
原因不明の膝の痛みに長期間悩まされている方や、関節がいくつも痛む場合は、一度リウマチ科で検査を受けてみるのも有効な手段です。
膝の痛みが示す5つの重要なサイン
膝の痛みは、ただ「痛む」というだけでなく、その症状や経過が複数の問題を示唆している可能性があります。
以下では代表的な5つのサインについて、どのような疾患や状態が考えられるのかを解説します。
変形性膝関節症の進行
歩くときに膝がギシギシする、階段の昇降がつらい、といった症状が続く場合、変形性膝関節症が進行しているかもしれません。
軟骨がすり減ることによる痛みが特徴で、長期間の負担や加齢が主な原因となります。
進行状況によっては、立ち上がるだけでも痛みが走ることがあり、早期に適切なケアを行うことで悪化を防ぐことが大切です。
半月板損傷の可能性
膝をひねったときに「プツッ」という感覚があったり、スポーツ中に大きな負荷がかかる動作をした後に痛みが強まる場合は、半月板の損傷が疑われます。
損傷の度合いにより、膝の曲げ伸ばしが制限されるだけでなく、ロッキングと呼ばれる膝が固まる症状が現れることもあります。
放置してしまうと関節の変形や軟骨のさらなる損傷を招くため、整形外科を中心に早めの受診がおすすめです。
靭帯損傷による不安定感
前十字靭帯や内側側副靭帯など、膝を支える重要な靭帯が傷ついていると、足をついたときに膝がぐらつくような不安定感が出現します。
スポーツによる衝撃や転倒などがきっかけになりやすく、適切な処置を怠ると歩き方のバランスが崩れ、他の部位に負担がかかるようになります。
不安定感があると、長時間歩行に支障が出たり、体重をかけるのが怖くなる場合もあるため、専門家による評価が必要です。
関節炎による炎症
関節リウマチや痛風など、炎症が膝に集中して起こる場合は、強い腫れや発熱感を伴います。
朝起きた直後にこわばりがあったり、腫れが引かずに痛みが続くときは、関節炎が疑われます。
こうした炎症性疾患は早期発見が重要であり、放置するほど関節の変形リスクが高まります。
リウマチ科などで原因を特定し、適切な薬物療法やリハビリテーションが必要になることもあります。
筋力低下の影響
年齢を重ねることで体力が落ち、太ももやお尻の筋肉が衰えると、膝への負担が増加します。
筋力低下により正しい姿勢を保ちづらくなり、膝関節に余計な力がかかることで痛みが生じることがあります。
運動量が減っている方や、最近太ったと感じる方は、まず筋力低下の影響も疑ってみてください。
リハビリテーション科や整形外科でチェックし、適切なトレーニングを行うことで、痛みの軽減や予防が期待できます。
適切な診療科選択のための3つのポイント
受診先を検討する上で、どのような基準を持てばいいのか困る方は多いでしょう。
ここでは、診療科を選ぶ際に注目したい3つの視点を紹介します。
一つひとつを振り返ることで、ご自身の症状やライフスタイルに合った科を見つけやすくなるはずです。
症状の性質と持続期間
まずは痛みの感じ方や発症してからの期間に目を向けてみてください。
スポーツ中の衝撃がきっかけで痛みが始まったのか、あるいは徐々に進行してきたのかによって、想定される原因が異なります。
また、痛みが断続的なのか、ずっと続いているのかによっても、考えられる疾患は変わってきます。
筋骨格系のトラブルであれば整形外科、慢性的な炎症の兆しがあるならリウマチ科といったように、痛みの性質と経過を手掛かりに受診科を絞っていきましょう。
痛みの発症状況
どんな動作やタイミングで痛みが強まるのかを把握することも、適切な診療科の判断材料になります。
立ち上がる動作で痛みが出る場合は変形性膝関節症や筋力低下、激しいひねり動作で発症したなら半月板や靭帯への負荷が疑われます。
夜間や朝方に痛みやこわばりがあるのであれば、関節リウマチの可能性も考えられるでしょう。
症状を明確にしておくほど、医師や理学療法士に詳細を伝えやすくなり、診察もスムーズになります。
日常生活への影響度
最後に、膝の痛みによって生活がどれほど制限されているのかも確認してみてください。
日常動作が大きく阻害されている場合は、単なる痛み止めだけでは改善が望めないこともあります。
リハビリテーションで機能を回復させたり、根本的な手術が必要になるケースもあるでしょう。
関節が変形してきているのを感じる、あるいは階段を昇るのが難しいほど痛みが強いときは、複数の診療科を横断する治療計画が大切です。
軽度の場合でも、将来的に歩行が困難になるリスクを見過ごさないために、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
まとめ
膝の痛みは、症状の特徴や原因によって通院先が変わります。
早めに適切な診療科を受診し、将来的な負担を減らしましょう。
――以上を踏まえ、膝の痛みが続く方は早めの受診を検討してみてください。
症状や状態に合った診療科を選ぶことで、一日も早い回復と快適な生活の実現を目指していただければ幸いです。
当クリニックでは、整形外科やリハビリテーション科の連携がスムーズで、リウマチ科も専門の医師が常駐しています。
患者さんの負担を最小限にしつつ、納得のいく治療を受けていただけるよう万全の体制を整えております。
どうぞお気軽にご予約・お問い合わせください。