膝の水で痛みが起こる3つの主な原因

膝にたまった水や慢性的な痛みに悩むと、日常生活が憂うつになるものです。
どうして腫れや違和感が生じるのか、そしてどのように対処すればいいのか。
少しでも参考になれば幸いです。

膝の水で痛みが起こる3つの主な原因

膝に水が溜まってしまう原因は多岐にわたりますが、大きく分けると関節や軟骨そのものの変性、膝周囲組織の損傷、そして自己免疫系の異常による炎症の三つが代表的です。
最初に思い浮かぶのは加齢や負担の蓄積によって起こる変形性膝関節症ですが、実際にはスポーツ中のアクシデントや日常動作の繰り返しで起こる半月板や靭帯の損傷、体質や免疫の問題による関節の炎症といった要因も見逃せません。
以下の項目では、変形性膝関節症が引き起こす炎症、半月板や靭帯が損傷した際の症状、そしてリウマチや痛風など自己免疫性疾患による腫れや痛みがどのように起こるのかを具体的に触れていきます。

変形性膝関節症による関節の炎症

変形性膝関節症は、長年にわたって膝関節に負荷がかかり続けることが主な発端となります。
軟骨がすり減って関節の表面が傷つきやすくなると、炎症性の物質が放出されて痛みが増すだけでなく、滑液が過剰に分泌されて関節内に水が溜まりやすくなります。
特に肥満傾向があったり、普段から立ち仕事や階段の昇り降りなどで膝に大きな負荷をかけていると、より進行が早まることがあります。
痛みが出始めた段階でケアを行わずに放置すると、関節の変形が進み、腫れや熱感が繰り返し起こりやすくなるため、早期の予防と対策が重要となるのです。

半月板や靭帯の損傷

スポーツをされる方や、普段からよく動くお仕事をしている方は、ジャンプの着地や急な方向転換の際に膝をひねったり、無理な負荷がかかって靭帯や半月板を傷めてしまうことがあります。
半月板はクッションの役割を果たし、上下の骨への衝撃を和らげる組織ですが、亀裂や断裂が生じると膝が不安定になり、体液が関節内に溜まって痛みを強く感じるようになります。
また、靭帯が伸びたり損傷すると、膝の左右や前後へのブレが増してしまい、日常動作に支障が出るだけでなく、周辺の炎症によって腫れが長引くことも多いです。
損傷の程度によっては大がかりな治療を要する場合もあるため、痛みや違和感が続くときは早めの専門的な診察を受けると良いでしょう。

リウマチや痛風などの自己免疫性疾患

リウマチや痛風といった自己免疫性の疾患では、体の免疫システムが自分自身の関節を攻撃したり、尿酸結晶が関節に蓄積して強い炎症を引き起こすことがあります。
これらの疾患では、局所的に痛みが生じるだけでなく、慢性的な腫れや全身症状を伴うことがあるため、一般的な使いすぎによる膝の痛みと混同しないよう注意が必要です。
特にリウマチは両膝に対称的な症状が出る傾向がありますが、個人差が大きいので一概には言えません。
痛風の場合も、激しい痛みが急に起こり、患部が真っ赤に腫れ上がる急性発作が特徴的です。
こうした自己免疫性疾患に起因する膝の水や痛みに対しては、根本的な免疫バランスの調整を含めた専門的な治療が必要となります。

膝の水による痛みを軽減する3つのセルフケア

痛みや腫れを軽減するためには、自分でできる日常的なケアが役立ちます。
膝関節に余計な負担をかけず、炎症を抑えつつ機能を少しずつ回復させるための方法としては、まず安静とアイシングが重要です。
また、痛みに合わせて無理のない範囲で筋肉をほぐしたり鍛えたりすることは、予防や改善にも効果があります。
サポーターや装具の使用により膝を安定させるのも、痛みを和らげる手段として多くの方が取り入れている方法です。
以下の項目では、それぞれのセルフケアをもう少し詳しく解説しながら、上手に日常に取り入れるコツをご案内していきます。

安静とアイシングで炎症を抑える

急性期の痛みや腫れが強い場合は、まず安静にして患部を休ませることが大切です。
膝が熱をもっていたり、ズキズキと痛みを伴うときには、氷や冷却シートを用いてアイシングを行うと炎症を鎮める効果が期待できます。
冷やす時間は20分程度を目安にして、一回ごとに時間をおいてまた冷やすようにすると、必要以上に血流を落とさずに効果を得られます。
また、高い位置に膝を上げておくと血液やリンパの流れが促され、むくみや腫れが軽減しやすくなります。
痛みが強い間は無理をせず、焦らずにしっかりと膝を休ませることが、長引く症状を予防するうえでも大切です。

無理のない範囲でストレッチと筋力トレーニング

膝が落ち着いてきたら、太ももの前側や裏側の筋肉を少しずつ動かしてみましょう。
ストレッチや軽めの筋力トレーニングを行うことで、膝周囲の筋肉バランスが整い、関節への負担が減らせるようになります。
いきなり激しい運動をすると再び痛みが悪化する恐れがあるため、ゆっくり膝を伸ばしたり曲げたりする程度から始めることがポイントです。
慣れてきたら、椅子に座ったまま片足ずつ伸ばす運動や、横になって膝を少し浮かせるエクササイズなどを取り入れてみると良いでしょう。
筋力が回復してくると、歩行や階段の上り下りなど日常的な動きもスムーズになり、痛みの再発予防にもつながります。

サポーターや装具の活用

膝をサポートする道具としては、市販のサポーターから医療用の装具まで、さまざまな種類が存在します。
痛みが強いときや、安定感が欲しいときには、弾性素材のサポーターを活用すると膝周りを圧迫して不安感を軽減し、日常動作がしやすくなるでしょう。
スポーツ時には、サイドに支えがついた装具を使用すると、靭帯や半月板にかかる負担を最小限に抑えてくれます。
ただし、長時間サポーターに頼りすぎると、筋肉が怠けてしまうこともあります。
自分の膝の状態や活動内容に合わせて、必要なときだけ着用するよう心がけるのがコツです。

膝の水による痛みでクリニックを受診すべき3つのタイミング

セルフケアをしていても痛みが治まらなかったり、日常動作に深刻な支障が出ている場合は、早めに医療機関を受診するのがおすすめです。
特に変形や強い腫れが見られるようなケースは、放置していると取り返しのつかない状態に進行することもあるため、病状を確認して適切な治療を受けることが大事になります。
次に挙げる三つの状況は、クリニックでの診察を検討する目安と言えるでしょう。

痛みと腫れが長引いている場合

軽い捻挫や一時的な炎症なら、数日から一週間ほどで症状が軽快することもあります。
しかし、痛みや腫れが長期的に続いたり、一旦引いたように思えても再発を繰り返すようなら、関節内で慢性的な炎症が起きている可能性が高いです。
自己流のケアだけでは改善しない場合、画像診断を含む専門的な検査が必要となることがあります。
もし軟骨がすり減っていたり、半月板や靭帯が損傷している場合は、早期発見と治療が将来の膝機能を守るカギになります。

歩行や正座など日常動作が困難な場合

歩くだけで痛みが走ったり、正座をすると強い違和感を覚える場合は、単なる疲労や軽度の炎症で片づけるのは危険です。
関節が変形してきている場合や、重度の軟骨損傷が進んでいる場合には、早い段階で専門医の診断を受けたほうが良いでしょう。
仕事や家庭での生活において膝を曲げ伸ばしする動作は欠かせません。
痛みを我慢し続けることで、かえって膝周りの筋力が低下し、症状の悪化を招くリスクも高まります。

膝の変形や強い違和感を覚える場合

膝の形状が明らかに左右で異なってきたり、鏡で見て外側や内側に極端な曲がりを感じるようなら、変形性膝関節症がかなり進行している恐れがあります。
また、関節を曲げ伸ばししたときに、引っかかるような音やゴリゴリした感覚がある場合は、軟骨や半月板にダメージが蓄積している可能性が高いです。
変形が進むほど治療の選択肢は限られますが、専門の医師のもとでリハビリを行ったり、適切な治療器具を使用することで、症状の緩和が期待できるケースも少なくありません。

まとめ

痛みや腫れが続くときは早めの受診が大切です。
不安を抱えたままでは日常生活に支障が出るばかりか、治療の遅れで症状を悪化させるリスクも高まります。