急に起こる膝の痛み5つの主な原因

急に膝が痛み出すと、その原因が何なのか気になりつつも、不安な気持ちが先立ちます。
少しでも早く適切なケアを受けたい方のために、主な要因や症状の見分け方、そしてどんな対策を取るべきかをご紹介します。
急に膝に痛みが生じた際、どのような怪我や状態が背景に考えられるのかを把握することは、とても重要です。
以下の項目では、それぞれの原因に注目しながら発生しやすい状況や特徴を解説し、受診の必要性や対処の仕方についても説明していきます。

急に起こる膝の痛み5つの主な原因

靭帯損傷による急性痛

膝関節を安定させるために重要な役割を担う前十字靭帯や後十字靭帯は、激しい運動や転倒時に大きな負荷がかかりやすい部分です。
ジャンプの着地や急な方向転換の際、膝にねじれるような動きが加わることで損傷が起こりやすくなります。
このような靭帯に急なダメージが入ると、膝がグラグラするような不安定感や強い痛みをともない、場合によっては歩行が困難になることもあります。
受傷直後は患部が腫れて熱感を持つことが多く、少しでも動かすと激痛が走るケースが少なくありません。
もし足を地面につけることすら厳しいと感じたら、無理に動かさず早めに医療機関に相談することが大切です。
当クリニックでも、MRI検査や専門的な徒手検査を用いながら正確に診断し、リハビリや手術の必要性などを含めた適切な治療方針を提案いたします。

半月板損傷の可能性

膝関節のクッションとして働く半月板が、スポーツや激しい動作によって傷つくと、膝の内部に鋭い痛みを生じることがあります。
半月板は、膝の曲げ伸ばし時に関節を円滑に動かすと同時に衝撃を吸収する重要な組織です。
しかし急な負荷がかかった場合に裂け目（損傷）ができると、膝を曲げたり伸ばしたりする際のロッキング（引っかかり感）を引き起こすことがあります。
特に痛みの度合いが強く、歩くときや立ち上がるときにガクッと力が抜けるような症状がある場合は、半月板に損傷があるかもしれません。
損傷の程度によっては、保存的治療で回復を目指す選択肢もありますが、大きく裂けている場合は外科的な処置を検討しなければならないケースもあります。
本来、半月板は血流が乏しい部分が多いため、自然治癒しにくい傾向があります。
早期に診断を受けて損傷部位を確認し、最適な治療計画を立てることが回復を早めるポイントです。

関節内遊離体の存在

膝関節の中に遊離体（関節ねずみと呼ばれる骨や軟骨のかけら）が存在すると、ある日突然膝の動きに強い痛みを感じることがあります。
これは半月板の一部や骨軟骨片がはがれて関節内を漂うように動くため、膝の曲げ伸ばしで引っかかる感じや鋭い痛みを起こしやすくなります。
日常の動作中は特に問題がなくても、突発的に関節がロックしたり、痛みが出たりする場合には、関節内遊離体が疑われます。
この遊離体が膝のすき間に挟まってしまうと、腫れや強い痛みをともない、膝を曲げたまま伸ばせなくなる症状が起こることもあります。
状態によっては、関節鏡による除去手術が必要となる場合がありますし、長期放置すると軟骨へのダメージが広がる可能性もあります。
もし不意に膝が動かなくなったり、クリック音のような異音を覚えたりしたときは、念のため専門医の診断を受けておくことをおすすめします。

筋肉の急性損傷

膝に連動する太もも周りの筋肉やふくらはぎの筋肉を急激に伸縮させたり、無理な力を加えたりすると、筋肉そのものや筋付着部にダメージが及ぶケースも少なくありません。
例えばスポーツの最中にダッシュや急停止を繰り返したり、深く膝を曲げた状態から急に体重をかけて立ち上がるような動きが多い方は注意が必要です。
筋肉に急性の炎症が起きると、痛みだけでなく腫れや内出血が見られることもあり、動かそうとすると鋭い痛みを感じやすくなります。
場合によっては、強い力が加わった瞬間に「ブチッ」と音がしたという報告もあり、こうしたサインを感じた際にはできるだけ安静を保ちつつ、医師の診察を受けることが望ましいです。
筋損傷のレベルが浅い場合は、アイシングやサポーターを活用した保存的な対応でも改善することがあります。
一方で大きな断裂が起きている場合は、縫合などの専門的治療が必要になるため、軽視せず早めの対処を検討しましょう。

関節炎の急性発症

変形性膝関節症やリウマチ性疾患など、慢性的な要因からくる関節炎がある程度進行した状態だと、あるタイミングで急に痛みが強く出ることがあります。
特に膝周りの軟骨が摩耗していたり、炎症が長期化したりしていると、ちょっとした動作や軽い負担でも急に関節が腫れ上がるケースがあります。
これを急性増悪と呼び、普段よりも痛みが鋭く感じられるため、歩行や日常の動作に支障をきたすことがあります。
過去に膝の違和感を感じていたものの我慢していた方で、ある日突然我慢できないほどの痛みが生じた場合は、関節炎が急性期へ移行した可能性があります。
膝が赤く腫れて熱感を帯びているなら、速やかに医師の診察を受け、必要に応じて炎症を抑える薬の投与やリハビリを始めることが大切です。
今まで我慢していた症状が一気に悪化することも珍しくないので、症状が落ち着いている間から検査を受け、適切な治療方針を決めておくことが理想的といえるでしょう。

膝の急性症状を見分ける3つのポイント

ここからは、痛みの原因をある程度絞り込むために注目していただきたい要素をご紹介します。
症状の性質や周囲の変化を把握することで、今どんな対処が必要なのかを考える手がかりになります。

痛みの性質と程度

急に走るような激痛があり、関節が不安定に感じる場合は靭帯や半月板の損傷を疑いやすくなります。
逆にズキズキと鈍く響く痛みで、腫れがゆっくり進行していくようであれば関節炎や筋肉の炎症が関わっている可能性があります。
痛みが夜間にも続いて眠れないほどであれば、症状が強いと考えられますので、すぐに受診を検討することをおすすめします。
痛みが出たり消えたりを繰り返す場合や、ある特定の動作のときだけ強く痛むケースでも、その背景には組織の損傷や遊離体の存在があるかもしれません。
特に痛むタイミングや程度の変化は、医師に伝える際の大切な手掛かりになります。

腫れと熱感の有無

靭帯や半月板の重大な損傷では、短時間で膝がパンパンに腫れ上がることが多く、触ってみると熱感を強く覚えることがあります。
また関節炎の急性増悪も似たような症状が見られるため、自分で判断がつかない場合は医療機関で検査を受けることが必要です。
腫れ具合や熱感は、炎症の進行度合いを示す指標でもあります。
急に腫れたからといって必ず靭帯断裂や骨折を起こしているとは限りませんが、あまりに症状が強い場合は無理に動かそうとせず、一度アイシングを行い医師に相談するようにしましょう。

関節可動域の変化

急性の膝痛では、痛みを恐れて膝を曲げ伸ばししづらくなるだけでなく、実際に動かしづらいほど関節がロックされているケースもあります。
関節内遊離体が引っかかっている場合や、靭帯が損傷して関節が不安定になっている場合には、可動域が著しく制限されやすくなります。
また、筋肉の炎症が原因の場合でも、痛みのために筋肉がこわばり、膝の曲げ伸ばしがスムーズにできなくなることがあります。
こうした可動域の変化はセルフチェックである程度把握できますが、「どこまで曲げると痛いか」「伸ばしきるときにつっぱり感があるか」など具体的に記録しておくと、医師の診察時により正確な情報を伝えられます。
膝が全く動かせないほど痛みが強い場合は、悪化を防ぐためにも早めに受診しましょう。

急な膝の痛みへの3つの対応方法

膝に急性の症状が現れた場合、慌てずに対処することが大切です。
ここでは、自宅でできる応急処置の方法や医療機関の受診のタイミング、そしてどのくらい安静にしておくべきかの判断材料について触れていきます。

適切な応急処置

膝の痛みが出た直後は、安易に無理をして動かそうとせず、まずはRICE処置（Rest＝安静、Ice＝冷却、Compression＝圧迫、Elevation＝挙上）を意識するのが基本です。
ただし、自己判断で圧迫や固定を強く行いすぎると血行不良を招くこともあるため、やり方に自信がない方は医師や専門のスタッフに相談してください。
外傷などで出血している場合は、その場で止血をして細菌感染を防ぐためにも清潔なガーゼで保護し、なるべく早く受診します。
すでに激しい腫れが起こっているときは、アイシングで炎症を鎮めるのも効果的ですが、数十分おきに冷却と休憩を繰り返し、極端な冷え過ぎにならないよう注意が必要です。

専門医の診察

急に痛みが出た場合でも、軽い捻挫や一時的な炎症に過ぎないこともあります。
しかしながら、靭帯や半月板、あるいは骨にまで深刻なダメージが及んでいる可能性は否定できません。
そのため、痛みがなかなか治まらない、もしくは歩行に困難を伴うなどの日常生活に支障が出る場合は、専門医の診察を早めに受けることをおすすめします。
診察では視診や触診、X線撮影、MRI、超音波など多角的な検査を実施し、必要があれば関節鏡検査なども検討します。
明確な診断が得られれば、手術の要否やリハビリの方針、装具の使用など、適切な治療計画を立てやすくなります。
当クリニックでは患者さまの症状に合わせた丁寧な診察と治療を心がけており、専門チームによるフォローアップも行っています。
もしご不安な点がありましたら、遠慮なくお問い合わせください。

安静度の判断

膝の痛みがあるとき、どの程度安静にすべきかはとても難しい問題です。
痛みが激しい急性期は、患部を休ませることを優先したほうが回復は早まりますが、あまりに長く安静を続けすぎると筋力が低下してしまいます。
急性期の痛みが多少収まった段階で、医師の指示のもとで徐々にリハビリや軽いストレッチを取り入れていくのが理想です。
痛みを抱えながらの無理な運動は逆効果になるので、少しでも違和感を覚えたら動作を中止し、再度診察を受けることを心掛けましょう。
当クリニックでは、その方の年齢や運動習慣、回復状況に合わせて、最適なリハビリプランと日常動作のアドバイスを行っています。
必要ならば専門の理学療法士が付き添ってサポートいたしますので、安心してご相談ください。

まとめ

膝の痛みは、原因の特定と適切な治療が早期回復の鍵です。
気になる症状があれば、ぜひ一度ご相談ください。