更年期 膝の痛みが生じる3つの主な理由

膝の痛みに悩みながら、原因や対処法が分からない方は少なくありません。
更年期にともなう身体の変化を把握し、適切なケアを行うことで、痛みの軽減を図っていきましょう。

更年期 膝の痛みが生じる3つの主な理由

更年期には体内でさまざまな変化が起こりやすく、膝にかかる負担も増えがちです。
ここでは、女性ホルモンの減少や骨の強度、筋力の低下など、代表的な3つの要因について順を追って見ていきます。

女性ホルモンの減少による関節への影響

更年期を迎えるころから、エストロゲンなどの女性ホルモンが急激に減り始めるのはよく知られています。
このエストロゲンには、骨を健康に保ち、関節内部の軟骨がなめらかに動くためのサポートをする働きがありますが、減少することで膝関節にかかるストレスが強まりやすくなります。
関節周辺の潤滑や炎症の抑制もエストロゲンによって支えられているため、減少すると軽い動作でも膝に違和感を覚えることが増え、場合によっては腫れや疼痛を伴うことがあるのです。
さらに更年期は自律神経が乱れやすい時期でもあるため、血液の流れにも影響し、膝周りの組織が十分な酸素や栄養を受け取りにくくなるという面も考えられます。
こうした複合的な要因によって、従来より膝に負担がかかりやすい状態へと変わってしまうのが、更年期特有の痛みの一因となっています。

骨密度の低下が引き起こす負担の増大

骨が弱くなるといえば骨粗鬆症が知られていますが、更年期以降は特に骨密度の低下が進行しやすくなります。
骨密度が低下すれば、体重を支えるために膝関節へかかる衝撃をうまく緩和できず、その分、軟骨や関節内部の組織に大きな圧力がかかりがちです。
骨がしっかりしていれば、ある程度の負荷がかかったとしてもスムーズに分散されるところを、密度が薄くなると耐久性が落ち、ちょっとした動作でも痛みが出やすくなります。
また、骨密度が下がるということは、骨折やヒビが入るリスクも相対的に高くなることを意味します。
万が一、転倒や段差でつまづいたときに大きなダメージを負えば、その後は膝を十分に動かせないために筋肉も落ちやすく、さらなる悪循環を招く恐れがあります。
こうした点から考えると、更年期における骨密度の低下は、膝への負担増を避けるためにも早めに把握して対策を講じることが大切です。

筋力の衰えに伴う膝周りへのストレス

更年期は女性ホルモンの減少だけでなく、加齢による筋力低下も顕著になりやすい時期です。
特に膝まわりの筋肉は、身体を安定させながら日常の動きを支える重要な役割を果たしているため、衰えが顕在化すると膝関節に直接的な負担がかかりやすくなります。
例えば、太ももの前側にある大腿四頭筋や、後側にあるハムストリングスなどは、膝の曲げ伸ばしをスムーズに行う上で欠かせない筋肉です。
これらが弱ってくると、階段を上り下りするだけでもスムーズに体重を支えられず、膝に余計な負荷が集中しがちになります。
運動不足や生活習慣の変化で筋肉が落ちると、血行も滞りがちになり、関節に栄養が行き届きにくい状態にもなりやすいので、結果的に痛みの頻度や強さが増すリスクがあります。
更年期特有の体調変化と年齢的な筋力の減少が重なることで、膝の痛みが生じる可能性が一層高くなる点は見逃せません。

更年期 膝の痛みをやわらげる3つのセルフケア

膝の痛みを和らげるには、日常の習慣を見直すことが第一歩となります。
ここでは、更年期による身体の変化を踏まえながら、無理なく実践できる3つのケア方法について解説します。

定期的な運動とストレッチで血行を促進

膝の痛みを軽減するには、血行を改善して筋肉を強化することが大切です。
ウォーキングなどの有酸素運動は、膝に負担をかけにくい方法としてよく推奨されますが、ペースや時間を急に増やすのは逆効果となり得るため、短めの時間から少しずつ伸ばしていくのが望ましいでしょう。
さらに、運動前後には大腿四頭筋やハムストリングスを中心にストレッチを行うことで、筋肉の柔軟性を高め、血液の循環を促進しやすくなります。
関節のなめらかな動きを確保し、老廃物の排出をスムーズにするためにも、痛みがひどくない日は軽い運動を継続する習慣を身につけることが大切です。
とくに更年期は体力が落ちやすいと感じる時期でもあるので、体調に合わせて運動強度を調整しながら継続してみてください。

バランスの良い食事と適切な体重管理

体重が増えれば膝への負担が増すのは明らかです。
したがって、更年期に入り、代謝が落ちやすくなる時期だからこそ、栄養バランスの取れた食生活を意識することが重要と言えます。
特に骨や筋肉を構成するたんぱく質やカルシウム、ビタミンDを意識して摂取することで、骨密度の低下を食い止め、筋力の維持にもつながります。
野菜や果物をこまめに取り入れることでビタミンやミネラルを補給し、体重過多を防ぎながら身体全体の健康状態を整えていくことができるでしょう。
食事内容を急激に制限するダイエットはかえって筋肉量を減少させる要因にもなるため、無理なく継続できる範囲で体重管理に取り組むことが大切です。
適切な栄養摂取を通じて骨と筋肉をサポートすれば、膝関節への負担も軽減されやすくなります。

ホットパックや入浴による温熱療法

膝の痛みに対しては、温めることで血行を促し、痛みを和らげる方法が効果的です。
入浴の際に湯船でしっかりと温まれば、全身の筋肉がリラックスし、膝への負担が軽減されるのを感じることが多いでしょう。
ホットパックや蒸しタオルを利用して膝まわりを局所的に温めるのも有効です。
特に長時間座っていた後や、寒い季節などは膝まわりが冷え込むことも多いため、意識的に温熱ケアを取り入れると痛みの軽減につながりやすくなります。
温めすぎて火傷しないよう注意しながら行い、じんわりとした温かさが続くように調整すると、血液循環が促進されてこわばりや張りが和らぎやすくなります。

更年期 膝の痛みで受診を検討すべき3つのサイン

もし膝の痛みが日常生活に大きく影響しているなら、一度医療機関で診断を受けることも大切です。
ここでは、特に受診を考えたほうがよい3つのサインについて解説します。

階段の昇り降りや歩行時に強い痛みがある

「歩く時に激痛を伴う」「階段の昇り降りがつらくて仕方ない」と感じる場合、それは単なる疲労や軽い炎症だけでは収まっていない可能性があります。
膝関節の軟骨や半月板が損傷している場合や、筋力が極端に低下しているケースでは、日常の些細な動作でも大きな痛みを感じることがあるのです。
違和感が長引くようなら我慢せずに専門家の診察を受け、適切な処置やリハビリの指導を仰ぎましょう。

膝が腫れたり変形が進んでいる

膝に炎症が起こると、腫れや熱感、赤みなどがみられる場合があります。
こうした症状は、変形性膝関節症やリウマチなど、特定の疾患が進行しているサインである可能性も否定できません。
膝が曲げにくくなったり、O脚のように見える変形がみられるようであれば、骨や軟骨の異常が進んでいるケースもあるため、一度検査で状態を確認したほうが安心でしょう。
変形が進むと、痛みが増すだけでなく、正しい歩き方を維持することが難しくなり、身体全体のバランスにも悪影響が及びます。

痛みが長期間続き日常生活に支障が出ている

痛みが長期化すると、外出や家事などの動作を避けるようになり、ますます筋力は落ちてしまう悪循環を招きやすくなります。
症状の軽い段階で受診すれば、運動療法や薬物療法などで早めに痛みをコントロールできる可能性も高まるでしょう。
更年期によるホルモンバランスの変化が重なっている場合は、痛みの原因が複数絡んでいることもあるため、自己判断だけでは十分な対策につながりにくいことが多いです。
生活の質が下がっていると感じたら、先延ばしせずにクリニックの予約を検討してみることをおすすめします。

まとめ

更年期の膝痛は適切な知識と対策で緩和することが可能です。
気になるサインがある場合は早めに受診し、負担を軽くする一歩を踏み出しましょう。